「鍼灸康復の部屋」名付けたこのページでは鍼灸治療を中心にツボ療法を紹介説明します。
康復とは健康回復の意:リハビリの意味もあります。


針灸劇場−初めての針灸−

良穴in奇穴


鍼灸治療って
どんな症状に効果的?
鍼灸治療は怖くない

こんな時、第一選択ツボ療法


鍼灸治療って?
鍼灸は今から2千年以上前、中国の黄河流域の寒いところで発祥したと言われています。厳寒の地では薬草も育たないので、このような物療が発展したのでしょう。
鍼灸はツボという治療点を針や灸で刺激して痛みやだるさを緩和する治療法ですが、なぜ効果があるのか詳しくは判っていません。筋膜(筋肉を包む膜)が針をすることにより引っ張られ、筋膜上に張り巡らされた神経が刺激され快い痛み(得気)を出すものと考えられます。灸もただやけどをした熱さではなく、奧に入ってくるような熱感はやはり筋膜上の神経が熱で適度に刺激されて生じるためと考えられます。そしてこれら鍼灸で生じる痛みのため、本来の痛みの通路がふさがれるという説や鍼灸による痛みのストレスから解放されるときに痛みが緩和されると言う説など、治療学説は多くあります。

鍼灸学的には体表には12本(正中を含めて14本)の流れがあり(他に流れを結ぶ流れもある;あわせて経絡)、その線上にツボが配置されているとされています。その数354とも365とも・・。この流れがあるために、遠隔からの治療も可能と考えています。体調に異常が有るときはこの流れのどれかが滞っていると考えます。そして流れの修復が治療に結びつくと考えています。
またツボにはそれぞれ性格がありまた他のツボとも関連をしていることもあり、痛いところ気持ちの良いところに鍼をするだけではなく、ツボや経絡の流れや特徴を考えて鍼灸治療は行われます。


どんな症状に効くの?
鍼灸治療は何でも効くというものではありません。やはり守備範囲があります。筋肉神経症状でも重くだるい、押してもらうと気持ちよい時などは非常に効果的です。
内臓疾患にも効果的ですが、どちらかと言えば慢性症状の緩和療法の一つと考えて良いでしょう。
ストレス社会である現代では、緊張が持続し、自律神経系に変調をきたす人が多いようです。つまり、肩こり・目の疲れ・不眠・頭痛・疲れ・腰痛などなど。これにも鍼灸は効果的です。心地よい適度な痛み刺激が身体にリラクゼーションを与えます。今、未病という言葉を良く耳にしますが、ストレスの継続的な暴露によって重篤な症状を引き起こすこともまれではありません。鍼灸は短時間でストレスから身体を解放します。つまり未だ病ざるうちに治療するという思想にはもってこいの手法といえるでしょう。

ただし重度な炎症症状を認めるときは注意が必要ですし、風邪で高熱が出ているときは禁忌です。妊娠中も原則的には禁忌ですが、逆子を治す方法も報告されているので専門家によく相談して下さい。

鍼灸は怖くない
鍼をするのは怖い。お灸ってすごく熱いのでしょう?そういう風に尋ねられる患者さんは多くおられます。鍼灸は痛くて熱い治療なのでしょうか?
鍼灸治療は侵襲刺激であるため、痛み、熱さが生じることは当然です。・・・が鍼を刺す痛みは殆どの場合感じません。縫い針を刺すような痛みを想像している人がいますが、そういう痛みはありません。筋が疲れているときはとても気持ちの良い刺激となります。
お灸も熱さの辛抱というイメージがありますが、本当に灸が必要な人は、この熱さはたまらなく気持ちの良いはずです。

現在使用されている鍼はステンレス製、長さは3−4cm、太さは0.1mm−0.2mmくらいで、刺激を少なくしたいときは細い鍼を、腰などには太めの鍼を選びます。いずれにしてもとても細いものです。でも簡単に折れるものではありません。術者は患者さんの体力の充実、筋肉層の厚さなどを考慮し、刺入の加減を行いますが、当然、全身や局所の状態、さらにはアルコールや金属に対するアレルギーの有無も把握し鍼治療の適不適をまず判断しています。

現在、針はほとんどの施術所で使い捨て(ディスポーザブル)を使用しています。そのため、肝炎、エイズなどの感染症の罹患のおそれは全くありません。
円皮鍼や皮内鍼などの留置鍼(皮下2mmくらいに留め置く小さな鍼)も滅菌済みのものを使用します。当然使い捨てです。

お灸も当然患者さんの状態をよく観察して行います。灸はやいととも言いますが、大きな痕の残る灸はあまり行われません。米粒程度の艾柱の下に火傷予防のシールを貼って施灸します。(これは痕は残りませんので安心です)
また隔物灸(お灸と皮膚の間に隙間を作ったお灸)も快く効果的です。そして温灸と称する灸は、じっくり行うことでトルクのある熱感がツボにしみこみ、冷え凝り神経痛症状に非常に効果的です。

痛みが怖い人には、レーザー鍼はいかがでしょうか。これは光線治療の一つですが皮膚を傷つけることなく、ツボを刺激します。(出力の強いもの、腸時間照射では火傷のおそれはあります) 鍼に使われるレーザーはソフトレーザーと呼ばれ出力の低いものです。このレーザーには抗炎症作用が報告されているのでリウマチなどの治療にも効果的です。


こんな時、家庭で出来るツボ療法
立ち仕事や外回りでくたびれる足腰、コンピュータと向かい合わせで疲労した目と固まった肩、もう疲れがいっぱいですね。血行を促し筋の疲労を和らげるツボ療法。特に身体が重い、疲れる凝る。そんな時はこれが一番。 

でもツボを選ぶのは結構難しそう。確かに本格的治療でツボを選んで行くのは難しいですし専門家に任せた方が賢明です。しかし家庭で比較的簡単にとれるツボもあります。ここではいくつかの症状に対するファーストチョイスのツボをお教えしましょう。  

ただしツボを刺激してみて不快であったり、痛みが増すときは即中止しましょう。強く押したり(高齢者は骨折のおそれがあります)、市販の灸刺激でもやりすぎ、大きな火傷には充分注意して下さい。(糖尿病などやけどの治りにくい疾患があります)また小さい子供に行う小児鍼は必ず専門家に相談して下さいね。妊婦さんは原則的に鍼はしない方がよいでしょう。(逆子のツボなどいくつかの妊婦特有症状に対するツボは存在しますが、専門家にお任せ下さい)
目の疲れ 首の凝り 肩こり 寝違い 胃弱
攅竹・魚腰
さんちく・ぎょよう
天柱
てんちゅう
肩外兪・膏肓
けんがいゆ・こうこう
落枕
らくちん
中カン
ちゅうかん
攅竹:眉毛の内側少し窪んでいます。

魚腰:眉毛の中央
後頭部、盆の窪のすぐ外側にあります 肩外兪:クビの後ろの出っ張りの斜め下、4横指。
膏肓:肩甲骨内則の中央少し下。
手の3,4指の間を上へすり上げると止まる所にあります みぞおちと臍の中央にあります。多くの場合暖めるのが効果的です。


腰痛 足の冷え 足の疲れ
大腸兪
だいちょうゆ
復留・太衝
ふくりゅう・たいしょう
環跳
かんちょう
足三里
あしさんり
湧泉
ゆうせん
腰に手を当てて少し力を入れると、腰に線ができます。その線上中央から3横指にあります。 復留:内踝の上3横指、アキレス腱上
太衝:足甲で第1指と2指の間、少し上、骨と骨との間
太股を屈すると股関節にできたしわの外 向こうずねを指ですりあげていくと、止まるところがあります。その少し外側 足の裏の母指丘と他指丘の間
ツボを選ぶ基本
本来治療穴(ツボ)を選択するのは知識と感性が要求され難しいものです。術者は患者さんの何処がどのようにつらいのか。今どういう状態なのかを、お話や患部を触ってまた脈を診、治療法を組み立てます。患部又は治療点の筋肉、神経支配だけでなく冷えや炎症状態、鍼灸学的な経絡の滞りや水滞やお血の有無などを考慮してゆきます。
痛いから押す、施灸する、何処でも良いから刺激するというものではありません。このように患者さんの症状(証)を確認しながら、施術は行われるので、治療としてのツボ療法はやはり専門家に任せるべきでしょう。